4つの成功例から学ぶイメージ戦略!
普段、何気なく見ているテレビCMや広告。一見、素通りするだけの情報に思えますが、その広告を打ち出しているブランドが、何らかの一貫したテーマを持っていることがあります。すると、CMや広告を見るたびに、何度もそのテーマを感じることになります。例えば、世界的に有名なのが「コカ・コーラ」のCMや広告です。「爽やか、リフレッシュできる、はじける」などのイメージが前面に出ていることが多く、コカ・コーラを見るたびに、イメージが付随してきます。これも、CMや広告における「イメージ戦略」の恐るべき効果といえるのです。
そこで今回は、実際の企業におけるイメージ戦略の4つの成功例をご紹介します。今、広告を手掛けている商品やサービスについて、良きイメージを消費者に伝えていくためにも、ぜひ確認しておきましょう。
イメージ戦略をより深く理解するためには、まずイメージ戦略とは何なのかを詳しく知ることが先決です。
人は、イメージによって商品・サービスを評価するといわれています。つまり、イメージが購買活動や口コミを左右するのです。商品やサービスの望ましいイメージを構築するマーケティング活動のことを、イメージ戦略と呼びます。そして、そのイメージ戦略の主な実践の場が、広告。つまり、広告は、イメージ戦略の要となる重要な活動といえます。
イメージ戦略を意識せず、ただやみくもに商品・サービスを宣伝していくとどうなるでしょうか。例えば、引きがありそうな写真やキャッチコピーを切り貼りしたり、今風のカッコいいデザインにしたりしてしまうでしょう。たとえ流行しているイメージであったとしても、これでは人々の心に響かず、響いてもその商品・サービスはどこにでもある印象を持たれてしまい、それならほかの商品でもいいやとなってしまう可能性があります。
それほど、イメージというものは、購買活動に多大な影響をもたらすのです。
では、イメージ戦略の具体的な方法を知るために、有名企業が成功したイメージ戦略の事例を見て学んでみましょう。
1.コカ・コーラ
冒頭でも紹介しましたが、コカ・コーラ社の炭酸飲料「コカ・コーラ」は、イメージが浸透している代表的な成功例です。
「さわやかになる、ひととき」や「ハッピーをあげよう。」などの印象的なキャッチフレーズで、コカ・コーラのビジュアルとはじける炭酸飲料の爽やかなイメージを誰もが瞬時に抱きます。そして、コカ・コーラを実際に飲んでみると、スカッとした気分になり、なんとなくハッピーになれる気がする。このイメージの強さはとてつもなく大きいものです。それは、同じコーラのブランドである「ペプシ」と比較すると、よりわかりやすくなってきます。
コカ・コーラのイメージ戦略から、ペプシコーラも爽やかなイメージはあるものの、そのイメージの強さは、コカ・コーラにはかないません。そこでペプシコーラは、「味」を研ぎ澄ませ、「ペプシチャレンジ」と題して、目隠しをしてコーラを飲み比べるテストを実施した時期がありました。味の面で美味しいという評価が下されたのは、何を隠そう、ペプシコーラのほうだったのです。しかし、目隠しを外すと、途端にコカ・コーラのほうに軍配が上がったといわれており、コカ・コーラのイメージの強さに、また驚かされます。
2.キユーピーマヨネーズ
「マヨネーズ」と聞くと、真っ先に思い浮かぶのが、キユーピーマヨネーズです。
あのボトルに赤いキャップ、そして赤ん坊のキャラクター「キユーピー」のビジュアルは、誰もが瞬時にイメージできることでしょう。これは、非常に強いイメージが人々の深層心理に根付いていることを示しているといえそうです。何しろ、マヨネーズ市場において、ほぼ独占的なシェアを誇っています。実際、マヨネーズ売り場に行って、キユーピー以外のマヨネーズを買うのは、少々ためらわれます。あのマヨネーズの味がしなかったらなんとなく損をした気分になるからです。
キユーピーのイメージ戦略の特徴の一つに、「ビジュアルを重視」しているところが挙げられます。あの独特なボトルの形状と赤いキャップの、シンプルだけれどインパクトのあるビジュアル。そして、誰もが親しみを感じてしまう、赤ん坊のキャラクター。そして、そのイメージは、ただ商品を訴求するだけでなく「マヨネーズをいかに使うか?」という、商品のその先にあるライフスタイルにまで手を伸ばしているところにあるといわれています。「うちのマヨネーズは美味しいよ」と単に伝えるだけでなく、「サラダやおかずにかけるとこんなに美味しいよ」などと、マヨネーズのある食卓のイメージまで積極的に湧かせる。このことで、マヨネーズが「我が家の食卓に欠かせないもの」になっていくのです。
3.スターバックス
今、「コーヒーでも飲みに行こうか」というときに、候補に挙がるのがスターバックスです。スターバックスに行く理由は、ただ「美味しいコーヒーが飲めるから」ということだけでなく、どこかプレミアムな感覚をもう一度味わいたいというところにもあるのではないでしょうか。例えば、「店員さんがどのカフェよりも親切にしてくれた」という理由でスターバックスへ出かける人も多いでしょう。
スターバックスがイメージ戦略で成功していることは周知の事実ですが、「広告を出さない主義」から、テレビCMなどで見かけることはありません。スターバックス店舗において、お客さん一人一人に自ら体験してもらうこと。それが強いイメージとして刻まれ、リピートを促すという結果になっているといわれています。この広告を出さずにブランド展開をしていった事例は珍しいものです。
スターバックスは、そこで働くすべての人が、「人々の心を豊かで活力あるものにするために—ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」というミッションに取り組んでいます。これが結果的に、店舗での感動体験につながり、人々の心にダイレクトに良いイメージが根付くのでしょう。
4.ガリガリ君
あのガキ大将のキャラクターでおなじみの、水色のバーアイス「ガリガリ君」。
実は、1981年の発売当時は、現在の親しみやすいキャラクターとは程遠いイラストイメージでした。しかし、消費者からあまりに評判が悪かったため、2000年にキャラクターをリニューアル。現在のキャラクターになりました。そして、そのイメージ戦略に成功したのは、キャラクターをただのロゴマークとして活用するのではなく、キャラクターとして活用することが要因となったといわれています。その売上は10年でなんと約3倍に。具体的には、「元気で、楽しく、くだらない」という小学校低学年が好むようなイメージを軸として、漫画の連載、絵本化、ゲームソフトとのコラボレーションなどの展開をしたといわれています。
今回ご紹介したのは、イメージ戦略が大成功した事例ばかりです。それを証拠に、私たちの中にどれも根付いています。日々の広告・PR活動において、これほどのイメージを植え付けることはむずかしいと思われるかもしれませんが、その手法を真似てみることは十分に価値があります。
これら4つのイメージをCMや広告で見かけたときには、ぜひ何かヒントを得てみてください。