バイアスがかかる広告とは?確証バイアスのメリットとデメリット
こんにちは!楠木ころみです!いきなりですが、みなさんは「バイアス」っていう言葉をご存知ですか?
バイアスは英語で「かたより」とか「ゆがみ」っていう意味なんです。広告の世界では、広告の印象や効果が実物と違ってしまうことや、その原因になってしまう心理状態のことをあらわします。バイアスにも原因によっていろいろな種類があって、その中でも固定概念にとらわれて情報が正確でなくなってしまうことを「確証バイアス」といいます。
こうしたバイアスは、広告をつくる上でどんな影響をおよぼすのでしょうか。
確証バイアスとは、認知心理学や社会心理学における用語です。
人は、自分の仮説や信念が正しいか否か検証しようとする時、自分の考えを支持する意見や情報ばかり集め、反証する情報は注目しない傾向があります。この心理を確証バイアスと呼びます。
例えば、あるデータを入手した後で、それと合致する事例を発見すると、そのデータが証明されたように思いやすいものです。しかし、実際にはそのデータを支持する情報が見つかったと言うだけで、反証を示す情報の方がより多く存在する可能性は充分にあるのです。
確証バイアスは、科学者や研究者にも一般人と同様に働きます。彼らは確証バイアスを回避するため、論文作成などの際は証明情報ではなく、反証情報に注目する方法をとっています。
確証バイアスの例① 血液型占いの場合
確証バイアスの有名な事例が血液型と性格の関係です。血液型と性格の関係は科学的に証明されておらず、血液型性格分類は正しいとは認められていません。
そもそも、人の性格にはいろいろな特徴があり、状況により様々な面が現れるものです。血液型の分類に「感情が変化しやすい」などと書かれていると、どんな人にも多少の気分の浮き沈みはありますから、多くの人が自分に当てはまると感じてしまうのです。
こうした”曖昧で一般的な記述”を、自分だけに当てはまる正確なものだと誤解してしまう現象を心理学では「バーナム効果」と言います。
同様に相手の血液型を聞くと、その血液型にあてはまる特徴ばかりが目についてしまうのです。例えば、「A型は几帳面」と思いこむと、A型の人の几帳面な面ばかり注目するようになり、いいかげんな行動をとっても例外的な行動と解釈するようになります。
これが、血液型占いの確証バイアスです。
確証バイアスの例② 恋愛の場合
恋愛をすると相手の良い所にばかり目がいき、悪いところはあまり目を向けなくなる傾向が顕著になります。「恋は盲目」これぞまさしく、恋愛の確証バイアスを表す言葉と言えるでしょう。
交際期間が長くなるにつれて「相手が変わった」と感じる場合、恋愛初期の頃のテンションや遠慮が無くなったという事実だけでなく、恋愛初期には確証バイアスによって情報そのものが取捨選択され、自分が好きになれる相手の長所や行動を増幅して認識し、好きになれない部分は無視していたという可能性もあります。
逆に、時間の経過と共に恋愛感情が冷めてきた結果、冷静に相手の短所を認識できるようになると、今度は嫌いという方向で確証バイアスが働き、相手の短所ばかりが目につく、ということもあり得るのです。
確証バイアスのことは最初にも説明しましたが、あれではちょっと分かりにくいですよね?もっとざっくばらんに言うと、確証バイアスというのは「自分の好きな情報だけを集めてしまう」状況のことをいうのです。人の心理というのはどちらかというと、自分の安心できる情報や欲しいと思う情報を集めたがる傾向にあります。確証バイアスによって自分の考えを補強してくれる情報をたくさん集めることによって、安心できたり勢いをつけることができます。このような影響を考えると、自分の考えに自信がない人の場合には、確証バイアスの効果がプラスに働く可能性もあるといえるでしょう。
しかし、確証バイアスにはデメリットもあるということを覚えておいてください。確証バイアスの傾向が強くなりすぎて、自分にとって都合の良い情報ばかりを集めるようになってしまうと、自分の先入観にもとづく情報ばかりが補強されることになります。しかし、正しい情報を知るためには、さまざまな視点からの分析が欠かせません。一面的な情報ばかりに頼っていると、事実をゆがめた形で物事を判断してしまう危険性があるのです。多くの人に情報を発信する広告業の人の場合は、特に注意が必要です。
広告業界では、確証性バイアスのほかにも注意してほしいバイアスが存在しています。それは主に、広告の効果を検証する場合に生じる傾向があります。
その中でも特に起こりがちな、2つのバイアスを紹介しますね。
1.季節性バイアス
商品の広告キャンペーンを展開した後で、効果を検証するためにその商品を購入するかどうかのアンケートを実施すると、高い効果があったという結果が示される場合があります。
しかし商品によっては特定の季節に多く売れる場合もあり、広告キャンペーンを行うのはそうした時期に重なる場合がほとんどです。つまり消費者が商品を買いたいと思った理由は広告効果だけではなく、季節や気候も影響していることを考慮しなければいけません。
2.記憶バイアス
商品やサービスについての好感度は、もともとその存在を覚えている人の方が高い値を示す傾向があるようです。そのため対象になる広告のことを覚えている人に、それが良かったかどうかを訪ねた時、「良かった」とこたえる人が多いのが普通なんです。客観的に広告効果を検証するには、別の角度からの分析も必要です。
こうした例を見ると、バイアスはさまざまな形で生じることが分かります。もしかしたら、知らないうちにその影響を受けてしまっている場合もあるかもしれません。バイアスの影響を受けず、より正確な情報を得るためには、さまざまな角度からの検証を心がけることが大切です。
情報を収集する時は正反対の視点からも検証する、季節性のような外からの影響も考慮するといったさまざまな条件を加えることで、さらに客観的な情報が得られるようになります。
物事を見る時には誰でも、多かれ少なかれ自分の主観が入ってしまうものです。そのため正しい情報を得るためには、思い込みによって生じるバイアスには注意しなければいけません。
これからはみなさんもバイアスを意識して、情報収集や広告効果の検証に役立ててくださいね!