宣伝カーの走行許可が出ないのはどんなケース?
宣伝カーが走行するために必要なこととして、大きく2つを挙げておきましょう。まずは所轄の警察署に「道路使用許可」の申請をすること。次に東京都では広告デザインの公益社団法人 東京屋外広告協会によるデザイン審査を通過し、車体利用広告等デザイン審査済証の発行を受けること。「道路使用許可」を受けるためには、「デザイン審査済証」も必要になりますので、この2つはセットで必要になるのです。街の景観のために始まったデザイン審査ですが、手続きに関しては広告宣伝をする側が行いますので、依頼者側は何もしなくて大丈夫です。
広告宣伝業者が手続きをするということになりますから、「道路使用許可」の方は申請をし忘れることはありませんが、デザインの審査の方は、もしかしたら修正などが入ると当初の運行スケジュールにズレが生じる可能性もあるかもしれません。そのあたりで、日程がどのくらいかかるのか、広告宣伝業者の方でも不透明な部分はあるでしょう。
「道路使用許可」とは?
道路というのは、本来の用途ではない道路の使用行為について、いかなる場合であっても禁止をしています。交通妨害や交通に危険を生じさせる可能性があることを一切排除しているのです(道路交通法第76条)。それに対し、警察署長の許可があれば禁止が解除される行為として許可する旨を定めているのです(道路交通法第77条)。
「デザイン審査済証」とは?
街の景観にそぐわない派手なデザインを施すアドトラックの苦情を受け、東京都では「東京都屋外広告物条例施行規則」を2011年に改正・施行しています。アドトラックの広告を公益法人 東京屋外広告協会がデザインやコピーなど全部を審査するものです。この関門を通らなければ、宣伝カーの走行許可は下りないことになっています。
「デザイン修正」とは?
屋外広告物の経験が浅い広告宣伝業者や、基本的な条例の理解ができていない広告宣伝業者の場合、とにかく目立てばよいという発想のもとの色使いではないかという、原色を多用したものが目立ちますし、コピーについても公序良俗にそぐわないものが多いようです。その場合には、公益社団法人 東京屋外広告協会から待ったがかかります。
今のところ、都内ナンバーの宣伝カーについてはデザインのレベルが統一されつつありますが、他県からの宣伝カーには、何の規制もできない状態です。よって、走行許可が出ない可能性があるのは、都内ナンバーの宣伝カーだけになります。しかし、公益社団法人 東京屋外広告協会の理解は、『デザインの規制を自主的にすることで青少年に悪影響を与えそうな広告宣伝業者は自然に排除されていき、真面目にデザインを追求しているような広告宣伝業者が残っていく流れになります。真面目な業者が損をする、はじかれてしまうことではない』ということなのです。