宣伝カーに関わる法律にはどんなものがある?
どんな広告宣伝にも禁止事項を盛り込んだ法律があり、何でもありというわけにはいきません。屋外で広告を出すことも例外ではなく、特に、宣伝カーに関わる法律としては、国として屋外広告物法に基づく法律や、車両法といわれる国土交通省所管の道路運送車両に関する法律、道路交通法といわれる警察庁所管の道路交通に関する法律があります。
国の法律の目的は、社会生活をする上で国民が守るルールの義務づけと同時に、国が国民に一定の権利を保障するというものですから、どんな地位の人であっても、その国の法律には従う義務が第一にあるのです。
法律が条例と違うのは、まず国会決議の法律があって地方公共団体の条例(ルール)があるという順序で、法律は全国適用であるのに対し、条例は地方公共団体ごとで異なってくるという点です。ここでは適用でもここでは適用しないということが起こります。ですから、罰則も原則、『2年以下の懲役若しくは禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料』程度に制限されているのです(地方自治法14条3項)。
国として屋外広告物法に基づく法律
屋外広告物法の目的としてあるのが、今あるそのままの景観を壊すことなく保っていくことと、誰もが危険や被害に遭わないようにすることにあります。要は周囲に浮くような派手なデザインや文字、言い回しなどを制限していくための法律なのです。違反をすると、都道府県知事は、それぞれの自治体で必要な措置を取ることになります。
車両法といわれる国土交通省所管の道路運送車両に関する法律
大まかにいうと、車両を自動車、原動機付自転車、軽車両の3つに分類していて、道路を通行する車の登録方法や保安基準を定めているのが車両法になります。保安基準の中には、車の法定点検である日常点検、定期点検や車検のことも含まれ、登録の際に宣伝カーは、特種用途自動車の放送宣伝車として8ナンバーで登録されることになるのです。
道路交通法といわれる警察庁所管の道路交通に関する法律
運転免許証取得に覚える交通ルール。その際に接する法律になります。法律の中でも身近なものではないでしょうか。目的は、誰もが利用する道路に対して、通行時の危険防止と安全でスムーズな通行を保つことです。例えば、道路交通法では、宣伝カーが音を流す時間は9:00~19:00まで、音量は85デシベル以下と決まっています。
騒音と捉えられる音の問題点に対し、一方では表現の自由、営業の自由という権利も発生してきます。例えば、ほとんどの人がうるさいと感じているような右翼の街宣車。彼らのように、政治的な主張をしているのは、憲法による表現の自由で、車両で広告宣伝をすることも、憲法による営業の自由ですから、うるさいからやめて欲しいと強制するのは難しいところではあります。
音を小さくする要求はできても、やめて欲しいとまでは強制できないところがあるのです。国民の悩みである拡声機に値する法律はなく、せいぜい条例止まりとなっています。